<はじめに>
かなり以前に購入したSEV FL3連だが、EK3よりES9に移植され、そのままになっていた。
以前EK3に装着したときは、わずかな効果があるが値段が高すぎるといった評価をしたかと思うが。

思うところがあり、これの効果を定量的に検証してみることにした。
検証にあたっては極力定量的な方法を考えてみた。
・エンジン稼働中にSEVの脱着を行い変化を検証できるもの
・スロットル開度は一定
・負荷一定
こうなるとクルマでは無理だ。
車載状態ではない素のベンチマーク専用のエンジンを用意する必要がある。
メーカーのエンジン開発室などのラボじゃないと無理かなーと思っていたのだが・・・
あった。

仕事で使う船外機を少々拝借して実験をすることにした。
ANEMONEは実は船舶免許を所有している。
このエンジンはSUZUKI DT5で出力は5馬力でキャブレター方式の2ストロークエンジンで、ギアもニュートラルに出来(1ランク下の2馬力クラスの船外機だとニュートラルに出来ないものもある)、スロットルも固定できる(通常、船外機はスロットルを固定できる仕様である)。また、電子制御などでアイドリング調整など複雑な制御を一切していないのでこの手の検証に向いているエンジンであるといえる。
<実験計画>
実験内容は以下の通りである
・この船外機にはタコメータがないため。変化量の検証は、エンジンと直結しているウオーターポンプから排出される冷却水の排出量の変化で行うことにした。
・負荷はギアをニュートラルにして無負荷に近い状態にした。
・スロットルはあまり開けると近所迷惑なので20%程度に固定。

・このエンジンは冷却水を外部から取り込む方式の水冷エンジンなので、スタンドに立てた状態で、巨大樽に水を満たしその中に入れた状態でエンジンを稼働させた。

問題点としては、2ストロークであるのでやや回転が不安定であることと、冷却水の排出口がゴミでやや詰まりやすい(事前に掃除はしたが・・)のでその2点がやや精度面での問題点である。それでもクルマで一定区間を走行し、アクセルを踏んだり離した結果としての区間燃費計の値を比べるよりはよっぽど誤差が少ないとは思う。
冷却水は、ビーカーを用いて1000ml採取時の時間(以下ビーカー充填時間と称する)をストップウオッチで計測しエンジン回転数の積分値の代わりとした。ビーカー充填時間をSEV使用状態と非使用状態との比較を行った。

エンジンは始動後スロットルを20%程度開けたのち10分間の暖機運転を行い、SEV非使用状態でビーカー充填時間の計測を1分間の間隔を置いて計3回行った。
その後、SEV(SEV FL3連)をゴム製の燃料ホースのエンジン側の部分に装着し、SEV化されたと想定される燃料をキャブレターに行き渡らせるため20分間継続運転を行った後、非使用時の計測時と同様に、ビーカー充填時間の時間計測を3回行った。

なお、実験時間中はエンジンは停止させずまたスロットルは20%固定状態を維持し操作は行わなかった。また、実験中、冷却系統のゴミなどが移動し排出流量が変化すると都合が悪いので冷却水排出口の清掃も同様に行わなかった。
実験結果の予測としては、SEVに効果があれば、エンジン回転数がわずかに上昇することから、冷却水の時間あたりの排出量が増加し、非装着時に比べ、ビーカー充填時間が短縮されると考えられた。
<結果>
SEV非装着時のビーカー充填時間
1回目:58秒3
2回目:57秒9
3回目:58秒0
最大-最小:0.4秒
平均:58秒1
同、SEV装着時
1回目:58秒8
2回目:60秒2
3回目:59秒8
最大-最小:1.4秒
平均 59秒6
SEV非装着時のビーカー充填時間は57秒9~58秒0で 平均58秒3、一方SEV装着時の時間は58秒8~60秒7で 平均59秒6であった。
このことから、SEV非装着時の時間の方が短く、エンジン回転数はSEV非装着時の方がわずかながら高い結果が出た。
なお実験終了時に大樽で循環していた冷却用水に温度の上昇が認められた(30℃程度と推定される)。
<考察>
SEV装着時と非装着時において、ビーカー充填時間の差は約2.6%で著しい差は見られなかった。
このことは、事実上装着時と非装着時においてエンジン回転数の差は無かったことを意味する。
つまり
SEV装着時のエンジン回転数≒非装着時のエンジン回転数・・・式
である
仮にSEV FLが効果として想定される燃料へのSEV化(パワー、トルクアップ)が達成されていれば、スロットル、負荷は固定されていることから、回転数の上昇が認められるはずなのだが、これが認められなかったことになる。
今回、SEV装着時の方がビーカー充填時間がわずかに長かったのは、冷却用に使用していた大樽の水の温度上昇と関連があるものと推定される。
ただ参考までに、SEV装着時も非装着時もエンジン音に変化はなく、音を聞いてわかるレベルでの回転数の上昇もやはり確認されていない。
SEVが効果が認められなかった原因を考えると、車載条件と異なる環境条件であったこと、四輪乗用車と異なる2ストロークエンジンで行ったことなど設計の想定外の使用であったことがあげられる。またそもそもSEVの効果自体が誤差に埋もれてしまうほど小さなものである可能性もあり得る。上記の理由はSEVの理論がわからない以上、否定も肯定も出来ない。
また、開始前に一度清掃しているので可能性は低いと思うが、SEV装着時限ってに冷却水系統のゴミがつまった可能性もありうる。
これらの可能性を完全に排除するためには、連続してもう一回同じ実験を繰り返し行う必要があったが、騒音、においなどの周囲への影響を考慮し行えなかった。
いずれにしても、今回の実験ではSEVの効果は認められていない。
<おわりに>
今回の実験ではSEVの効果は認められなかった、以前書いたインプレも気のせいだったかもしれない。いや、多分そうだろう、そのほかのマイナスイオン関連のグッズも・・・
SEVは様々な製品があるが、何れもメーカーの方で効果の度合いを”定量的に”数値化したデータを公表していない。
効果の検証方法を公開せず、パワー、トルクと言った一見定量的だが実は抽象的な表現方法でしか効果を示していない。
よって、今回の実験で、測定方法に問題があったこと指摘されても、効果の度合いが数値化されていない、またそもそもSEVの理論が体系化されていない以上(少なくともwebサイト上ではわからない)、材料が乏しく議論を成立させることが自体が困難だ。
SEVの販売元ではレーシングチームも所有していることから、たとえ仮に原理がはっきりしていなくとも”効果の度合い”を検証するだけの定量的な実験は容易に行えるはずだ。
もし、効果が数値化できない(そもそも人間の感覚をすべて数値化できるものではない)ものであるならば二重盲検法を応用した方法も考えられるのだから。
けど、結果を公開しない。こういった実験をやっていないだけなのか?
インチキというのは簡単である。
だがWEB上でここまでいろいろな人が効果があったと言っているのであれば、すべてではないにしても効果がある要素が少しはあるのではないだろうか。
その部分を検証し、科学的な評価方法を研究し、検証を積み上げ、高めていけば、もしかしたら、本当にもしかしたら、公益に貢献できるきちんとしたものが出来るのかもしれない。
だがこのままではSEVは疑似科学の域にとどまっている。
一応、放射線が効果の要素であるようなことにしているらしいが、具体的にどのような作用・効果があるか本当に万人が納得できる方法で検証する努力をしているのだろうか?
未知の要素であればなおさら研究する意味があるとおもうのだが・・・
(なお、微量であることを効果がないことの根拠にしている反証ウエブサイトも見受けられるが、理論が不明である以上、効果がないことを証明するためには少々弱い)
効果的な商品を製品開発するためにいったいどんな体系化されたセオリーやノウハウがあるというのだろうか?
SEV-FLは平板状だが、SEVリンクやヘッドバランサーなど本当にあの形に意味があるのだろうか?(実は意味を込めているだけでは?検証はした?)
この実験を見てほしい、SEV化が物質を活性化させるのであれば、SEV使用のリンゴの方が早く酸化して腐るはずなのに実験結果は逆になっている。そのまま解釈するとSEVは”燃えにくいガソリン”を作る効果があると言っているようなものだ(後付けでも殺菌効果があると入れた方がよい・・)。
販売員が思いつきでやった実験だと思うが、こんな実験を公開してしまったことから解るように、少なくともこの実験を公開している認定代理店の「セブステーションさいたま」の販売員はSEVの狙いや効果・原理をきちんと理解していないと思う。
こんな事を書いてしまってはアレだが、理論が解らないのであればSEVの効果(SEV化とはどういうものなのか?)の仮説を社内で統一すべきだろう。
でたらめにトライアンドエラーを繰り返して効果を検証するだけでは、効果的な商品などは絶対に出来ない。
SEVの販売元も幅広い分野に様々な製品を出しているようだがこのままではいつか行き詰まると思う。
科学的な部分ではプラシーボ効果が証明されただけだったといった結果を生まないためにも、きちんとした研究、論文発表などを行い批判に耐えうる理論を身につけ、科学的に効果を検証する事を販売元には期待したい。
(もう引き下がれないだけかもしれないが・・・(^_^;))
しかしSEV・・高かったなー
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